最近になってよく話題にされるのが、「新型うつ(否定形うつ病)」です。
「うつ病として休職しているのに、自分の趣味や飲み会には出かけたり、海外旅行に行く社員がいる」というような話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
従来の気分の沈みを示す「うつ病」とは、明らかに状態や程度が違うので「新型うつ」と言われています。
本人以外から見れば、「うつ病なのに好きなことをやっている」ように見えることもあって、甘えなんじゃないかと思われることもあり誤解を受けやすいということがあります。
新型うつの特徴
他人の些細なひとことに傷つきやすい
上司や同僚の何気ない注意や苦言に、ひどく傷ついてしまうことがあります。恋人のちょっとしたひと言で傷ついてしまうことも少なくありません。
そして、他人からどのように思われているのかを異常に気にする傾向が強いです。
抑うつ気分に突然襲われる
抑うつ気分が突然激しく訪れますが、長くは続きません。朝、会社に行こうと思うと吐き気に襲われても、昼頃には元気が戻ってくるということがあります。
気分のアップダウンが激しい
新型うつは、イライラや不安感が強く感情のコントロールが効かなくなりがちです。
「突然、理由もなく涙があふれてくる」こともあり、ジェットコースターのように気分のアップダウンが起こります。
やりたいことはできるが、嫌なことができなくなる
会社にはどうしてもいけないのに、友達から誘われる飲み会や恋人と旅行には行くことができます。
自責的ではなく他罰的
気分が落ち込んでいると、自分に対して批判的なことを言った人に対して不平不満が出てくることがあります。
人の批判を必要以上に感じてしまうため、すべてうまくいかないことを人のせいだと考えるようになります。
会社や組織への気持ちが薄い
従来型のうつ病の人は、几帳面でまじめが特徴で「仕事は絶対に休めない」「会社を休むとみんなに迷惑をかけてしまう」といった発言をするのに対して、新型うつの場合は自己愛が強く、会社への愛着が薄いように感じられます。
その他、自分から「診断書を書いてほしい」と言って精神科を受診するのも少なくありません。
従来型のうつ病の人の「自分は病気ではない」「休職すると会社に迷惑をかけるから、そうなるくらいなら退職したい」という発言とはまったく違っているのです。
また、過食が伴いやすく、抗うつ薬が効かなかったりパニック発作を伴うことも多いのが特徴的です。
新型うつ(非定型うつ病)の治療・対処法
新型うつ病は、幅広い症状や特徴があるため、診断や治療方法がしっかり確立されたとは言えないのが現状です。
「自分の好きなことはできるけれど、嫌なことはできない」という点からも、「甘え」「わがまま」と周囲から理解されにくいということもあります。
新型うつ病の人は、拒絶されることを極度に恐れ、周囲からどのように見られているかを非常に気にする特徴があります。ある種の対人不安とも言えます。
そのため、周りは本人が苦しんでいることを理解し心強いサポートが欠かせません。
その上で、新型うつの治療を紹介していきます。
規則正しい生活習慣
新型うつでは、過眠や過食の傾向があります。そのため、生活リズムが乱れがちで倦怠感がより強く表れがちです。
まずは、朝はちゃんと起きて、3度の食事を食べる。夜は12時前にはベッドに入るようにするといった規則正しい生活リズムを心がけましょう。
小さな目標をたてる
新型うつ(非定型うつ病)は、引きこもりになったり、活動量が減少していく傾向が多いです。
倦怠感を引き起こすのは、脳内のドパミンとの関連が示唆されています。この対策には、日々小さな目的を持って生活することが必要です。
- 毎朝7時に起きる
- 毎日30分ウォーキングをする
- 今日はこの本を読む
- 今日は机の片づけをする
簡単な目標を設定して、できたら次の目標を立てるというようにしていきます。
高い目標を設定して達成できないと、それがストレスになってしまうので、達成できる小さな目標を細かく設定するのがポイントです。
仕事は可能な限り続ける
仕事に就いている人は、つらくてもできる限り会社に行くようにします。
職場では、時間通りに出社してやらなければいけないことがあり、人とかかわることが避けられません。
新型うつ病では、
- 生活リズムを整えること
- 小さな目標を達成すること
が必要です。その実践として、職場での社会生活は実践の場としては大切なのです。
最初はつらいと感じるかもしれませんが、少しずつ変わっていくはずです。